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また、恋してくれますか。

第18章 〜輪廻〜


書類を読みながら、どんどん憂鬱になって
書類をパサっと投げ置くと大きな
ため息をついた。『ハッー』
憂鬱になる主な原因は二つ。

保証人として、信長に署名捺印をしてもらう為
会わなければならないこと。
信長に会うことが嫌な訳ではない。
会って、自分の迷いを見透かされる事が
嫌なのだ。

そして、その迷いと憂鬱の最大の原因である
桜奈との関係。
下宿をやめて、引っ越してしまえば
もう会える理由も、会うことそのものが
憚られる。

会えなくなると思うと、どうしようもなく
胸が締め付けられる痛みに襲われ
胸元をギュッと掴んだ。

(こうなることは、分かってたことだ・・)
そう自分に言い聞かせたところで
もう、側には居られなくなる事実は
何ら変わらない。

自分でも、おかしいと思えるほど
桜奈の全てが愛おしい。
手に入れたい。自分の側にいて欲しい。

次から次に溢れてくる欲求は
望んではならないと言う理性に
押し潰されて行く。

(やっぱり、1日でも早い方が良い・・・)
そう考え直し、信長に連絡を入れると

明日の夜にマンション来るように
返信が返ってきた。

返信を読みながらまた『ハッー』と
ため息をつく。
まるで、嫌だと暴れる自分を
問答無用で引きずりながら
着々と『別れ』の日に向かい進んで
いくようだった。

そんな家康の心情など知る由もない桜奈は
夕飯ができたことを知らせに、ドアをノックした。

『はい』

『家康さん、夕飯できました!』

『うん、今行く』

こんな、他愛ないやりとりすら家康の胸には
切なさが込み上げるのだった。
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