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また、恋してくれますか。

第18章 〜輪廻〜


病院を出た二人。
昼をだいぶ回ったと言うのに
自動ドアが開いた瞬間、むわぁっと熱気が
身体にまとわりつく。

眩しいほどの青い空と山のように浮かぶ
入道雲。ミンミン、ジージーとウルサイ
蝉の声。これぞ夏と言わんばかりの
外気に触れ、手をかざし空を見上げた詩織は
どこか、吹っ切れたように
『おばあちゃん、私ね、ついさっき
失恋した。7年もずっと片想いしてたのに
あっさり、終っちゃったよ。
縁がなかったのかな?』

日傘を広げていた祖母は
『えっ?』と言ったが、すぐにニッコリし
『その人からの贈り物をちゃんと受けとった
のなら、ご縁の形は変わって行くわよ。
どんな形かは、おばあちゃんにも分からない
けど。悔いがないと思うなら、それが
贈り物をちゃんと受け取った証なのかもね・・・』

『じゃ、悔いが残ってたら?』と詩織。

『悔いは、残らないなんてことはないのかも』
とクスッとし歩き出す祖母。

『えっ、それじゃ、贈り物受けとったとに
ならないんでしょ?それってどう言うことよ
おばあちゃん』と、後を追う詩織。

『うふふ、さて、どう言うことかしら
さぁ、美味しい物を食べさせてくれる
お店に着くまで、よく考えてみて』と
楽しそうに悪戯っぽい笑顔を浮かべながら
歩く祖母を見ながら

(おばあちゃん、たまにこう言うとこあるよね)
『もう、おばあちゃん時々、人が悪くなるよね』
追いつき隣で歩きながら、不満を言う詩織。

『だって、人から聞いた答えは、その人の
答えであって、自分の答えではないでしょ?
自分の答えは、自分で出さなきゃね・・・
だから、いっぱい悩んで考えて・・』と
ふふっと笑う祖母だった。

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