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また、恋してくれますか。

第18章 〜輪廻〜


待合室の長椅子に座って
俯く詩織。

自分の7年もの片想いが、こんな形で
終わるなんて想像もしていなかった。

悲しさより、悔しさがこみ上げる。

考えてみれば、信長の言う通りだったの
かも知れない。

自分の絶体絶命の危機を颯爽と現れ
かっこ良く救ってくれて、名も告げず
去って行ったヒーロー。しかも、イケメン。

憧れ、恋に落ちない理由がない
シチュエーション。

そんな、少女漫画かコテコテの
ヒーロー戦隊ものの、あるある
設定に自分もまんまと嵌り、7年も片想いする
ヒロインの自分にどっぷりと浸かって
恋に恋していただけかと思うと複雑だった。

それを、恋と呼べるのかすら自信を
失くし、分からなくなっていた。

(恋って、なんなの?桜奈にあんなに
恋とはのうんちく語ってたくせに、自分の
ことは、さっぱり分かってないじゃん)

二度と会いたいなんて思わずに済むと
啖呵を切り、自分から片想いにケリを
つけてしまった詩織。

もはや、自分のこの沈む気分が
何に対しての落ち込みかすら
自分では良く分からないのに
どんどん凹んで行く気持ち。

『はっー』と深いため息を
何度もしながら、肩を落とし
内容など入ってこない、雑誌を
ただ見つめるばかりだった。
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