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また、恋してくれますか。

第18章 〜輪廻〜


『そうですね。先生にはまたお礼を言わないと』
と、笑ってない目で、涼やかに微笑むと
『一つは、もちろん命を救ってくれたお礼。
もう一つは、私の貴重な青春の無駄遣いを
止めてくれたお礼。確かに想ってましたよ。
そりゃ命を救ってもらったのに
どこの誰かもわからないままでしたから
正直、気になりましたよ。

夜寝る時には助けに来てくれた時の顔と
抱きしめられた感覚と耳元で励ましてくれた
声が、毎日、毎日、しつこいくらいリプレイ
されちゃって・・・
お陰様で、水に対するトラウマにもならずに
済みました。ありがとうございました。』

一気に、語り始めた詩織は、いつの間にか
仁王立ちになって、信長にビシッと指を差すと

『でもね、例え勘違いだろうとなんだろうと
私の7年の想いを馬鹿にされる
筋合いはないです!

だから、先生にこうして、もう一度会えて
ほんとに良かったです。
お陰様で、もう二度と会いたいなんて
思わずに済みそうですから!
じゃ、これで失礼します。
コーヒーご馳走様でした!!』
そう一方的に言うと、一礼しその場を後にした。

肩をいからせながら、ドスドスと歩いていく
詩織の後ろ姿に、クククッと、口元を手で押さえ
肩を揺らして笑う信長。
(面白いやつ、なかなかの負けん気だな)

桜奈の言った通り
詩織は、別の意味で信長と
真っ向勝負をしてしまったのだった。

振り返ることなく、待合いに戻りながら
詩織は、片想いを馬鹿にされた悔しさと
あんな失礼なやつを7年も想っていたのかと
言う情けなさと、図らずも片想いをしていたと
暴露する形になった恥ずかしさで
今すぐ、家に逃げ帰りたい気分だった。

『悔しい!』涙目になりながら憤る詩織。
それと同時に、信長の言った通り
目が覚めた気分にもなっていた。
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