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また、恋してくれますか。

第1章 〜幸せだった?〜


そして、勝負は始まった。

静かな部屋にパチッパチッと
碁盤に碁石が並ぶ音だけが響く。

その夜の桜奈は、どこか
神がかっていた。決して負けられない
勝負と言う気迫があった。

それでいながら、家康を追い詰めるほど
唇を噛み締め今にも泣きそうで
苦しげな表情になっていく桜奈。

(俺に何を願おうとしてるんだ桜奈?)
桜奈の気迫と、桜奈が自分に
何を望もうとしているのかと気になり
集中が途切れた家康は、敗着手を
指してしまった。

しまった!!と思った時には遅かった。
勝負の流れは、一気桜奈に。
桜奈の細く長い指に挟まれた碁石が
碁盤にパチッと置かれた瞬間、勝負あった。

これまで、家康に一度として勝ったことの
なかった囲碁。

(やはり、これで正しいのですよね)
自分に言い聞かせる桜奈。
けれど、そう思った瞬間、桜奈の目からは
涙がポロポロと溢れた。

急に泣きだした桜奈に焦る家康。
『桜奈?どうした?どう見ても
勝てたからの嬉し泣きじゃないよね?』

桜奈は、涙を拭い
家康の目の前に座り直すと真っ直ぐに
揺るがない瞳で、家康を見つめ
願いを申し出た。
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