第4章 出会い
それは、鳥の囀りと共に静かな丘を流れた。
「ん?」
振り返ると、大きな木の傍で、あの子が泣いていた。
ふわふわとした長い金髪に、青くて深い瞳。
肌は雪をまとったかのように白い。
もう一度時を刻みたいと願う古びた時計のように、僕の鼓動は一定のリズムで体中に鳴り響いた。
胸が苦しく、息ができなくなるほど僕の心臓は暴れた。
目を赤くしながら泣くあの子に、時を忘れた僕の体は釘づけになっていた。
まるで金縛りにあったかのように、体が言うことを聞かない。
自分が自分じゃないみたいだ。
こんな感情初めてだ。痛くて、苦しくて、でも、どこか心地いい。
何もかも矛盾したこの身体が、今は嬉しいとさえ感じた。
『どうやら僕は、大変な病にかかってしまったようだ。』
だんだんと表情が緩み、笑みがこぼれた。
『こんなだらしない顔、あの子には絶対見せられないな。』
僕は懐に忍ばせていたピエロの仮面をかぶり、その顔を隠した。
ピエロの顔は、いつも変わらず朗らかだった。