第10章 ただの幼なじみ
試合が終わって、どれくらいの時間が過ぎただろうか。ロッカールームの外で真ちゃんを待つが、一向にその姿は現われなかった。
初めての敗北に真ちゃんは一体どんな気持ちでいるのだろうかと考えてみたけど、やはりそれは計り知れない。
中学のとき自分が出た試合で初めて負けたあの日を思い出してみる。
『・・・・はぁっ、・・・・・はぁっ、』
そうだ、あの日から悪夢が始まったんだっけ・・・。
嫌なことも辛いことも沢山あったなぁ・・・。
そんなことを考えていると、次第に自分の息が苦しくなって、呼吸をするのがやっとになり、考えることを放棄した。
丁度そのとき、ロッカールームの扉が開いた。
「山田ー、真ちゃん・・・・・ってオマエ大丈夫かよ?」
高尾だった。
息が上がっている私を見て驚いたのか、顔色悪いぞと私に近付いてきた。そして高尾の手が私の肩に置かれたとき、無意識に体がびくっと反応してしまった。
「わりぃ、そういうつもりじゃないんだけど、」
と高尾は少しバツが悪そうに謝ってきた。
『・・・・はぁっ、大丈夫。・・・・・はぁっ、ごめん。真ちゃん探してくるっ』
私はそう言い残し、逃げるようにその場を後にした。
外に出てみたは良いものの、外は生憎の大雨だった。傘を持ってくれば良かったと後悔はしたが、濡れるのを覚悟して、体育館の周りを歩いてみた。
既に上がってた息は落ち着きを取り戻していた。