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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第8章 しけた面してんじゃねーよ






「実力通りの展開だ。悪くはないが、良くもない。とりあえず向こうはまだ諦めてない。後半は大坪も積極的に攻めろ、とどめを刺す。以上!」



別に油断していた訳じゃねぇが、なかなかやるな誠凛。ま、ぜってぇ負けねぇけど。




「オーイ、何してんの?」



爪を整える真ちゃんに問う。



『爪のかかり具合がキモなんだって。』



私気にしたことないよー、と笑う山田。
いや、多分気にしない人のが圧倒的に多いだろうよ、と言いたかったが、真ちゃんがいる手前口をつぐむ他なかった。


とは言え、真ちゃんのそれはもはやこだわり通り越して執念すら感じる。常に爪をテーピングで保護って、と笑いそうになるくらいに。



「あ、痛っ!!」



声のした方へ視線を移動すると、今日のラッキーアイテム たぬきの信楽焼に躓く木村さんがいた。




「何だよ、このタヌキ!」


『すいません!今日のラッキーアイテムです!』


木村さんは続ける。


「てか前半フツーにベンチにあるし、邪魔くせーんだよ!」


『すいません!端に置いておきます。』



でもベンチに置くのな、と心の中で山田につっこむ。


先輩たちも少しフラストレーションが溜まっているようでそのイライラの矛先はやはり真ちゃんだ。例に漏れず宮地さんもかなりイライラしてるようで、タヌキの信楽焼を蹴って割ろうとしている。


わーすいません!宮地さん!なんてまた山田が頭を下げている。その原因を作っている男は、今もなお爪を整えている。



「山田が気の毒に見えてくるよ。」



真ちゃんは一瞬山田を見たが、何も言わなかった。
そしてハーフタイムは終わった。

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