第1章 はじまり
午前6時半。
少し早く起きたかなと時計を
ぼんやり眺めながら思った。
今日から、わたしは
新しい職場で働くことになった。
それも、これまた初めての
マネージャー業務。
誰の、かは
まだ知らされていない。
着慣れないビジネススーツを
着た自身を鏡で確認する。
「なんか、おばさんみたいだな」
……なんて、自分で言って
笑っていた。
そして
今日は少しだけ、顔の火照りが
いつもより酷かった。
昨日飲んだホルモン抑制剤が
効いているからなのか。
処方された病院でも、
担当医にそんな事を言われたような
なんて、曖昧に思い出す。