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溺愛執事の恋愛事情

第4章 お嬢様の憂鬱


パパとママが、帰って来ました。
いつも突然帰ってくるふたりに驚くことも忘れたけど。
だっていつもハイセがいたから。
寂しくなんてなかったし。
お仕事に飛び出していくのもしょっちゅうだったわけだし。
別に今さら、生活に何の影響もないと思ってた。

そう。
思ってた、はすだった。





「………ひま」

「残念、僕は忙しくて寝る間もありません」

「暇」

「そうですか」



「暇!!」



書類とにらめっこしたままこちらを見ようともしないハイセの頬に両手を伸ばして。
強引に上を向かせれば。
一瞬面食らったように瞬きを2度、3度繰り返し、だけどそれはすぐに意地悪く細められたのだ。


「そんなに、相手して欲しいですか」
「……っ」
「構って欲しいですか?」

「べ、別に…っ」


「そうですか。では、邪魔です。いい加減出ていってもらえますか」


「……っ」



邪魔、だとーっ?
あたしがハイセなんかクビにする!って言えば、ハイセなんてお払い箱なんだからねっ!!



「わかったわよ!ハイセのバカっ」
「ものわかりのいい方、好きですよ」

「ぅ……」


なんなのよ。
なんなのよ。
そんなに艶のある声、これ見よがしに出すんじゃないわよっ!





「じゃれあいなら他所でやってもらえるかな」



「パパ!」
「旦那様」



だいたい諸悪の根元はパパじゃないっ。
邪魔者はあたしじゃないわ。


「………皇に睨まれると弱いなぁ、ハイセ、娘を外に出してくれないか」


あたしからわざとらしく視線を反らし気味に、ドアから入って来たパパはハイセの前の机へと腰かけた。


「お嬢様」
「わかったわよ!ハイセはパパの執事に鞍替えしたのよね!!新しい執事でも探すからもー結構よ!!」



バタン、と思い切り締めたドアの前に立ち尽くすこと数分。


「………」



追いかけてすらこないハイセに、さらに腹が立った。
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