• テキストサイズ

溺愛執事の恋愛事情

第13章 番外編 映画鑑賞はお静かに





「な、な………っ、ハイセ、が!!変なとこ触るから!!」


ベッドがあって。
後ろから大好きな彼女の柔らかい身体を抱きしめてて。
何もしないやつなど、いない。








数時間、前。

『ハイセ、話があるの』と神妙な面持ちでキッチンへと現れたお嬢様。
夕食の確認をしていた手を止めて、彼女を見れば。
思い詰めたように瞳を揺らしてそう、俺を見た。

『なんでしょう』
『こ、ここじゃなく、て。部屋に、来て』
『………』


顔を赤らめて。
指先で裾を掴むその仕草があまりにもかわいすぎて。
今すぐ抱きつきたい衝動を抑え。
『わかりました。後ほど伺います』
とだけ、伝えた。
パタパタパタ、と足音さえもかわいらしくて。
うっとりと足音に耳を傾けていれば。


『和泉様』
『夕食のメニューなど、こちらでよろしければわたしたちでやっておきますわ』
『お嬢様のところへ行ってください』

『………』

何やらニコニコと笑いながら、使用人たちが頭を下げた。

『ですが』
『大丈夫ですわ』
『お嬢様はほんとに、和泉様がお好きなんですわね』
『え』
『最近またかわいらしくなられて』
『和泉様のおかげでしょうか』

やはりニコニコニコ、と話を続ける彼女たちの視線が居た堪れなくなり、『ではお願い致します』とキッチンを後にした。
そのままお嬢様の部屋へとノックすれば。
すぐにお嬢様はドアから顔を出して。
ぐい、と燕尾服のネクタイを引っ張り彼女にしては珍しく、自分からキスをしてきたのだ。

『お嬢様?』

『わ、悪かった?』
『いえ』

えーと。
なんだ?
キス?
しかもなぜ機嫌悪い?
手に取るようにわかっていた彼女の思考回路が全然読めない。
/ 197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp