第10章 お嬢様の一大決心
ハイセの考え。
さっさと自首して、事件を終わらせること。
ただのドラッグ絡みの些細な事件として。
和泉も西園寺も、マスコミが騒ぎ出す前に事件を終わらせること。
たとえそれが冤罪であったとしても。
終わった事件にマスコミは騒ぎたてない。
「ロンドンへ、行ってハイセ」
「は?」
「考えたの。あたしは西園寺のひとり娘。こんなスキャンダル、ふさわしくないわ。だからハイセ。あなたはもう、いらないの」
「皇、何言って……」
「終わったの!!もともとハイセが強引に迫って始まった恋だもの。ひとまわりも歳の離れた恋人、良く考えたらあたしにふさわしくない」
ハイセは、こんなところにいたら駄目だ。
もっともっと、上に行ける人。
あたしなんかのために、人生棒にふったら駄目だ。
「バカげた茶番、付き合ってらんない。━━━━さよならハイセ」
自首なんかすることない。
証拠も何もないこんな事件。
すぐに解決するから。
マスコミがなんて書き立てようとあたしとハイセの関係は終わったんだ。
煙すら、立つことなんてない。
騒ぎ立てたところで当の本人がいなければ、騒ぎになんてならないもの。
これでいい。
あたしのわがままで、縛り付けちゃ駄目だ。
だから。
さよなら、ハイセ。