第6章 完璧執事の、弱点
「ん………」
頭、痛い。
なにこれ。
すごくガンガンする。
吐きそう、だし。
なんとなくうっすらと目を開けるけど、暗くて良く見えない。
「お目覚めですか、お嬢様」
「ぇ」
少しだけ慣れてきた視界の中あたりを見渡せば。
全然見たこともない場所。
と。
「………だれ?」
知らない、人たち。
一瞬で状況を理解した頭からは、一気に血の気が引いていく。
「あんたに恨みはないんだけどさ」
「………っ」
「悪いけど、壊れてくれない?」
「………なに……」
「あんたが壊れてくれれば一緒にぶっ壊れるかなーって。『和泉琲生』、あんたが唯一の弱点なんだからさ」
はい、せ?
なに言ってんのこの人たち。
「恨むなら、あんたの父親と完璧な恋人を恨むんだな」
「なに………っ、きゃぁぁぁぁっっ!?」
疑問を投げ掛ける、前に。
彼は持っていたナイフでドレスごとビリビリに引き裂いたんだ。