第1章 プロローグ
あッ!
皆さま、はじめまして。私はメリィ。
ええ、そうです。漫画原作の学園ドラマ、アマイマスク先輩主演。
その不治の病を患ったヒロイン役を演じさせていただきました。
私、あの時がファーストキスで…
アマイマスク先輩のファンの方にどれだけ怨嗟のこもったファンレターを頂いたか…
カミソリの刃って本当に封筒に入っているものなんですね。
いえ、マネージャーが管理してくださっているので、直接私は受け取ってませんけど…。
はい、おかげ様で最近ヒーローデビューしました。まだB級ですがもっと上位に上がれるよう尽力します!
え?ヒーローネーム?い、いいじゃないですか、それは、言わなくても、
……ダメ?ですか?そうですよね、はい、あの…
メルヘン☆プリンセスって言って……
わ、笑わないでください私だって拒否しましたよ!!
これでも、これでも「ぷりん星からやってきたお姫様だぷりん☆」ってキャラ付けだけはなんとか回避したんですよ!!!
「なにをしているんだ?」
「あ、アマイマスク先輩。ファンの人が趣味で作っているヒーロー新聞のインタビューって…」
わ、先輩顔コワッ
って思ったらすぐいつものファンサ笑顔に切り替えるのはさすがです。
ああ……そうですよね、プロなんだから安請け合いしちゃだめですよね、
優しくファンの方を諭してついでにサインをして解散させてしまいました。鮮やかなお手並みです。
「ところでメリィ。寝癖がついている。
これからテレビ局でプロのインタビューだ、イメージを崩すようなことはするなよ」
「はいっ 頑張ります!」
「ああ、良い返事だ。
僕の見込んだ通り、君は輝きに溢れている。」
「あの、先輩、私~だぷりん☆って言わなくてもいいことになったんです……よね?」
「言ってもいいんじゃないか?」
ふっと悪戯っぽく笑う先輩は本当に格好いいんですが…
「いやですぅ……」
勘弁してほしいんです。
そんな、お話です。