第13章 おとぎのくにの 5
「私は隣の部屋に控えていますね」
あとは寝るだけという状態になったところで、カズは下がろうとしたけど。
「やだ」
「サトさま?」
「だめ」
カズの手をつかんで引き止める。
今日は他に誰もいないから、カズが不寝番をするつもりなんだろう。
でもだめ。
それは許可できない。
「今日は一緒に寝よう」
「そんなこと出来ません!」
即答で断られたけど、そんなの予想済み。
これくらいじゃ私は折れないよ。
いつも通りにっていうカズのお願いは聞いたんだから、今度は私の番でしょ?
今夜は1人になりたくないし、カズを1人にするのも嫌なんだ。
「お願い、1人になりたくないの…」
「サトさま…それならサトさまがお眠りになるまでお傍にいますから…」
目をうるうるさせてみたけど、泣き落としじゃちょっと弱かったみたいだ。
カズは “うん” と言ってくれない。
「いや!カズが一緒に寝てくれないなら私も寝ない!」
「サトさま…」
「やだやだ!カズと一緒に寝るの!」
今度は小さな子どもみたいに駄々を捏ねてみる。
カズは困りきった様子だけど、動こうとしないから。
「ほら!早く着替えて!」
「サトさま!サトさまにそんなことさせられません!自分でしますから!」
強引にお仕着せを脱がせようとしたら、カズは悲鳴のような声をあげて私から逃げた。
「そう?じゃあ早く脱いで。寝衣は私のを着ていいからね」
「………はい」
カズはもう何を言っても無駄と諦めたのか、素直に私の寝衣に着替え始めた。
「さ!寝よ!」
化粧を落として、まとめていた髪も下ろして。
カズも寝れる状態になったから、カズの手を引っ張って2人で寝台に飛び込む。
無駄に広い私の寝台は2人で並んで横になってもまだまだ余裕があるけど、私はカズを抱き寄せてぎゅっとくっついた。