第11章 キミ色フォルダ Root Green
あれはニノ!!
どんな事情があってあんな格好してうちに来たのか知らないけど。
どんだけ可愛くても、どんだけ俺のタイプでも、ニノはクラスメイトの男なんだから。
変な目で見たらニノに失礼だ。
バシッと両頬を叩いて気合を入れて。
『あれは男!男!男!どんなに可愛くても男!』
呪文のように心で唱えながら部屋に戻ったんだけど。
そこで待ってたニノは、俺の気合いなんて簡単に吹っ飛ばすくらい可愛かった…
遠慮がちに部屋の隅にちんまり座っていたニノは、座布団代わりに渡したクッションを大切そうに胸に抱えていて。
男は苦手なはずの女の子座りでペタリと座ってて。
うるうると潤んだ瞳で上目遣いに見上げてくるもんだから胸がキュンとしてしまう。
いやいや、キュンはおかしいんだってば!
ニノは男!
普通にしなくちゃ!
「もっとこっちおいでよ」
気を取り直して。
距離があると話しづらいからもうちょっと近くに…と思って何気なく掴んだ腕は折れそうに細くて。
ちょっと引っ張っただけで簡単に引き寄せられる軽い体。
スカートからすらりと伸びる足は細くて白くて見るからにすべすべで。
ねぇ…マジで女の子じゃないの?
でも話す声はニノのものだ。
顔も…化粧はしてるけどニノの顔だ。
観察するようにじーっと見つめてしまっていたら、そろっと顔を上げたニノと至近距離で目が合ってしまって。
目の前でパッと赤くなった頬に、ドキッと心臓が跳ねた。
いやいやいや!だからドキッじゃないんだよ!
ニノは男なんだってば!
自分の反応がヤバくて、慌てて目を逸らしたけど。
何を勘違いしたのか、気持ち悪くてごめんなんて謝るニノ。
気持ち悪いどころか可愛すぎて困ってるんだけど。
あんまり可愛いからドギマギしちゃって、どこを見ていいのか分からないんだよ…