第11章 キミ色フォルダ　Root Green

告白してきたのは彼女の方。

話したこともなかったけど、可愛くて有名な子だったから存在は知ってて。

実際に間近で見たら本当に可愛いし、その時は付き合ってる子もいなかったから断る理由がなくて。

軽い気持ちで付き合い始めた。

それでもちゃんと好きだと思ってたし、俺なりに大切にしてたつもりだった。

謎の記念日をたくさん作られても、頑張って全部覚えて毎回お祝いしてたし。

友だちへの彼氏自慢に付き合わされても、無茶なワガママに振り回されても、文句も言わず耐えてたのに。

こんなあっさり終わるの？
俺の努力は何だったわけ？

ショックな気持ちはある。
怒りみたいな苛立ちもある。

でも何よりも虚しかった。

実はこんな振られ方をするのは初めてじゃなくて。初めてじゃないどころか結構頻繁にあって。

みんな俺の外面的なものだけで寄ってきて。
いざ付き合うと思ってたのと違うと言って離れていく。

最初から俺は俺なのに。
何にも作ったり偽ったりしてないつもりなのに。

勝手に俺のイメージを作って、そのイメージと実際の俺の言動が違うと、今度は勝手に幻滅して離れていくんだ。

そんなの俺の知ったこっちゃない。
ちゃんと俺を見て、俺自身を好きになってくれよと思う。

でも俺だって、顔が可愛いからとか今は彼女がいないからとかってそんな理由でOKしてたんだから、相手ばかりを責めることは出来ない。

それでも、分かっていてもやるせない気持ちにはなる。

こんなこと繰り返しても虚しいだけだ。

次はちゃんと俺自身を見て好きになってくれる人と付き合いたい。

そのためにも、適当な気持ちで彼女を作るのはもうやめよう。

1人取り残された裏庭で、そんなことを決意した。