第2章 一戦を越えて
ずっと姿をくらましていた夜トが急に女子トイレに現れたのです。
ひよりは唖然と口を開き、個室の縁の上に股がっている夜トに目を見開く。
今の夜トはケータイを片手に持ち、女子トイレの個室を上から眺めている………、言わば、犯罪者にしか見えない。
「きゃあああああっ!!」
ひよりはそこらにあるいろんな物を手当たり次第投げた。
トイレットペーパーや、床を洗うための洗剤の入ったボトル。まあ、トイレに有るものを全て想像してもらえば状況は浮かんで来ると思うが。
「違う!!これは盗撮ではなくて…」
夜トはその上手く身体を動かせない場所で小さなケータイを盾にして必死で今の状況を説明した、が、ひよりには届かない。
「ひ…ひよりーーーーこれは本当に誤解…」
夜トと一緒に居たのか、夜トの神器、雪音が今の今まで個室に隠れていたが、こそっと顔を覗かせた。
しかしもう何をしても遅かった。
ひよりはトイレ掃除用のブラシを持ったかと思えば、それを二人に向かってかざす。
そして、そのまま地面を蹴った。
「ひっ、モロ見えですよ!?」
雪音が悲鳴に近い声を上げる。
必然的に宙を舞うひよりを見上げれば彼女の短いスカートからは下着が見えていたが、相手はご乱心。
女子トイレ内に何発か、鈍い音が響いた。
そして冒頭に戻る。