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魔法の下着屋さん

第2章 溺れる試着室


(でも……本当に素敵なお店)
サラは改めて店内を見回す。優しいピンクの壁紙に、可愛い白の商品棚。どれもこれも欲しくなってしまうような可愛い下着が並べられていて、見ているだけで永遠に楽しめそう。可愛いシャンデリアが煌めく店内には甘い香りが漂っていて緊張も解きほぐされる。
(店員さんが男性で落ち着かないけど…少し見ていたら女性の店員さん戻ってくるかも?)
そう思いなおし、いくつかの下着を見て回る。その中のひとつに思わず目が釘付けになった。
「わ…」
思わず声が漏れ、それを手に取る。
薄いグリーンの生地に繊細なレースがあしらわれ、レースで編まれた花には薄い黄色の染色がされている。上品で、でも可愛い。
「それ、気に入ったん?」
「えっ…」
うっとりと見つめていると突然声をかけられて心臓がひっくり返りそうになった。
「気に入ったんやったら、試着どうぞ」
そんなサラの様子を気にすることも無く、彼は店の奥を指さした。
胸元に「shiraishi」という名札をつけた彼は、たじろぐサラに小さく首をかしげて微笑みかけた。
「あ、あの…」
「下着はサイズが大切やから、試着した方がええよ」
確かに優しく笑っているのに、どこか有無を言わせぬその雰囲気に飲まれてサラは促されるままに試着室に向かった。
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