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魔法の下着屋さん

第2章 溺れる試着室


試着室に足を踏み入れたサラは、その可愛らしい空間に思わず感嘆の息を漏らした。
当然ながら壁の1面は鏡。その向かいにフレンチ風の小さなソファが置かれている。壁に飾られた小さな絵や、繊細な装飾の明かり…まるでおとぎ話のお姫様の部屋のようだとサラは思った。
(こんな可愛い試着室、住んじゃいたくなるな)
そう思いながらバッグをソファにおく。
(男の人がいるの、落ち着かない……さっさと付けてサイズ確認しちゃお)
手早くトップスとキャミソールを脱ぎ、ブラを外して服の中に隠すように置き、先程のブラを手に取った。
(やっぱり可愛い…)
手早く付けると、サイズも合っているし……自分でも似合っていると思った。傲慢な言い方だが、まるで自分のために作られたように似合っている。
思わずうっとりと鏡の自分を見つめていると、カーテンの向こうから声が聞こえた。
「サイズ確認させてもらうな」
「は!?」
意味を理解するより先に先程の男……白石が試着室に押し入ってくる。
「え、は…な、なん……」
口をはくはくと開閉させ、意味をなさない言葉を発するサラを気に止めることも無く、白石はサラの後ろに回り込む。
「ちょっと失礼するで」
「ひっ…な、何するんですか!」
後ろからカップの中に遠慮なく手を入れられ、やっとサラの口から抗議の声が出た。
「何って、サイズ確認。下着屋で試着したことないん?」
こともなげにそう答えながら白石はサラの脇から手を滑らせてカップの中に肉を収めていく。
「あ、あ、あるけど、そんな、男の人…」
「店員やで?気にしすぎちゃう?」
混乱のあまり意味の無い単語を並べているサラを笑いながら白石は紐の長さを調節する。
(いや、店員さんだからって……こんなの、おかしいでしょ!?なんでこの人こんな普通なの!?)
そう思うが白石のあまりに自然な態度に何故か口にできない。頭がパンクしそうでクラクラする。
「ひゃっ…」
「ん、サイズは丁度よさそうやな。よぉ似合ってる」
鏡越しに見つめられながら確認するように下着の上から胸を寄せられ、サラは小さく悲鳴をあげた。
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