第5章 躾の時間
どさり、乱暴に投げつけられた身体はふかふかのベッドに受け止められて、痛みはなかった。
けれど、痛みより恐ろしいものが目の前にある。自分を投げた白石の、冷たい瞳。
サラはその視線の鋭さに身を竦めて震えるしかなかった。
「あ、の……」
「なに」
不機嫌に結ばれていた唇が僅かに開き、驚く程低い声で白石は応えた。
「なんか言い訳あるん?自分が、やったことの」
吐き捨てるように言う言葉の鋭さに、反論も言い訳も喉に貼り付いて出てこなかった。
(こわい、こわい…たすけて…)
頭の中に浮かぶのはそれだけで、ただ縋るように見上げた瞳がじわじわと潤んでいく。
その様子ににこりともせず、白石はサラがへたりこんでいるベッドに片膝を付いた。
ギシ、と軋む音にサラの肩がびくりと跳ねた。
「なぁ?俺今までめちゃくちゃサラのこと大切にしてたんやけど?なんでも望むもん用意したったよな?毎日毎日サラだけを愛して暮らしてきたったやろ?………それやのになんで逃げようなんて思うんかなあ?」
ほんま傷つくわ、と溜息をつく白石の勝手な言い分に、違うとか、勝手に監禁しといて、とか言いたいことは沢山あった。
それなのに至近距離で睨みつけられると、何も言えなくなる。
ただ弱々しく「ごめん、なさい…」と絞り出すが、白石の纏う不機嫌なオーラは微塵も揺らがなかった。
「こんだけ優しくしたってるのに分かってくれへんってことは、ちょっと痛い目みな覚えられへんのかなぁ……自分が誰のもんかって」
「ひっ…ご、ごめんなさいっ!も、もうしませんから…っあうっ」
恐ろしい宣告に慌てて縋りつこうとした手は、あっけなく捕えられ後ろ手に纏められた。
驚くほど簡単に拘束され、ベッドに放たれる。支える手を封じられて、サラはシーツに顔から突っ伏してしまった。
白石はそんなサラの腰を持ち上げて高く上げさせると、ぐにぐにと下着越しに割れ目を2、3度確認し、そのまま下着を一気に引きずり下ろした。