第10章 しろくろ *後編*
白熱!戦国オセロ対決はシーソーゲームになってキリがない。
たった今、6対6と決着がついたところで、次の一戦で打ち止めと提案した。
「十兵衛さんを、街道まで案内しないといけないので。あまり暗くなると危ないですから」
「それはかたじけない。ならば太郎殿も共に」
「俺はここに泊まらせてもらうのさ。近場に良い湯が湧いていてな」
「左様か」
第13戦目。
流石というか、蛇の道は蛇というか……。
信玄さまの手を読み切った光秀さんが、15個差で信玄さまを下した。
「強いなぁ」
「太郎殿こそ」
「また会うことがあれば、そのときに再戦を希望したいんだが?」
「いずれ。それでは」
「あぁ。『いずれ』な」
初めて会ったときと同じように、慇懃に礼をしてから出ていった。
「送ってきます」
「あぁ」
まだ側にいる光秀さんに怪しまれないように、短い会話だけ残して、光秀さんの後を追った。