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それいけ信玄さま! *イケ戦*

第8章 しろくろ *前編*



日が落ちるにつれ、行燈(あんどん)の薄明かりが浮かび上がってくる。

山の上に築かれた、堀を持たない城。躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)。なるほど、この山が天然の人避けというわけか。攻めにくいことこの上なし。


「…それにしても」


あの斥候ら。
城主が死んだというのに悲壮の顔つきではなかった。忠義者ではないのか、やはり嘘か。


「…………………」


人の気配がするな。
今はあまり目立たん方がいいらしい。

あくまでも迷い人を装いながら、躑躅ヶ崎館から離れた。


*続く*
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