第6章 いちょう
どうやらあの黄色い一体が発生源みたいだな。
……で、俺が愛して止まない
「こんにちは、家康公」
「……はぁ…」
「出会いから盛大な溜め息、ありがとうございます」
「…あんた、バカなの?」
家康公の嫌そうな顔。プライスレス。
「ところで、何をしていたんですか?」
「…べつに」
家康公の冷たいところ。プライスレス。
「銀杏(ぎんなん)拾いですか?」
「『誰か』さんが政宗さんに余計なこと教えたから、こんなところまで駆り出される羽目になったんだよ」
「あぁー……」
*****
『ぎんなん?あの臭い木の実が?』
――はい。秋の味覚です。信じられないかもしれませんが、もっちりとした食感と独特の風味は、この時期にしか食べられません――
『ふーん』
*****
「もう行くから。ここ臭いんだよ」
「あ、家康公」
「なに」
刺々しい声と共に、不機嫌さMAXの顔が振り返る。