第6章 俺が守る
この日の朝食後、サボとコアラはドラゴンに呼び出されていた。
「明日から一ヶ月、任務に就いてもらう。」
「どんな任務ですか?」
「グランドラインのある国に、リラさんの祖先をよく知る人物がいる。その人に会ってきてほしい。それと、その国は今戦争の真っ最中だ。その戦争に使われている武器の出処についても、同時に調査をしてきて欲しいのだ。」
サボは、リラのことなら、と任務を引き受けた。
「いいの?サボくん、リラちゃんと一ヶ月も離れるんだよ?」
「俺は参謀総長だぜ?女のために任務を拒否できるような立場じゃない。それに、アイツを守るには、祖先のことは知らなきゃならないことだと俺は思う。大丈夫、リラは、俺の女だ。仕事のことを色々と言うような女じゃない。」
「そうですか、今日は一日準備で追われるだろうけど、ちゃんと話すんだよ。」
「あぁ、分かってる。」
コアラとサボは部屋の前で分かれた。
サボは、自分の部屋ではなく、リラの部屋の前に立つ。
コンコン、と静かに扉を叩いた。
扉の向こうから聞こえてくる可愛らしい声。
「はーい、開いてます、どうぞ。」
サボは何も答えずに扉を開いた。
「サボ!ドラゴンさんのお話、なんだったの?」
入ってきたサボに嬉しそうな笑顔を向けるリラ。
サボは、リラを引き寄せ、キツく抱きしめる。
「明日から…一ヶ月間、任務のためここを離れる。寂しい思いばかりさせてごめんな?」
長い沈黙が続いたが、リラはようやく口を開いた。
「…ううん、大丈夫…一ヶ月なんて、すぐだからっ。私、少しでもみんなの役に立てるように自分のできること、やっておくね。」
「それでこそ、俺の女だ。また、毎日連絡するからな。今度は…泣くなよ?」
抱きしめていた腕を緩め、リラの瞳をじっと見つめるサボ。
その目を見つめ返して言う。
「コアラさんも、行くの?」
「あぁ、コアラは俺の部下だからな。心配するな。」
腰に添えられていた手を離し、彼女の頭を優しく撫でた。
「サボのこと、信じてるから。準備、何か手伝おうか?」
「そうだな、手伝って貰えると助かる。」
うんっ!と返事をすると、リラはサボの手を引っ張り、準備のためサボの部屋に入っていった。