第2章 近づく二人の距離
「サボさん、どうして年齢のこと聞いたんですか?」
リラはサボの思考を他所に、聞いてきた。
「あ、えと、俺には敬語じゃなくていいよって言おうとしたかっただけだよ。」
「でも、年上ってわかったらなおのこと…」
「そういう、ちゃんとしたところ、わかった上で言ってる。俺には敬語使わないで。俺も使わないし、これからは呼び捨てにするから。俺のことも、呼び捨てにすること。わかった?」
真剣な眼差しで彼女を見つめると、リラはコクンと頷いた。
「よし。飲み終わったけど、また身体冷えてきたな。部屋に戻ろうか。」
サボの言葉に同意するように、リラは、恥ずかしいけれど、勇気を出して敬語を使わずに、そしてサボのことを呼び捨てにしてみることにした。
「そうね。サボ、戻ろう。」
敬語を使わないでくれたリラの返事に、自分のことを呼び捨てにしてくれたことに、サボの心は一気に鼓動を早めた。少しだけ、二人の関係が進んだ気がしたから。
二人は肩を並べ部屋へと戻っていった。そんな二人の様子を、食堂の女性は目を細めて見つめていた。
「サボは惚れてるな、ありゃ…」