第2章 second time Love(橘)
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輝かしい青春時代から
目まぐるしく仕事に追われる日々に変わった。
満員電車にもみくちゃにされるのはまだ慣れない。
「わわっ!!」
電車から降りれば人の波。ただでさえ身長が低い私は
出るべきの出口と真逆に流されてく。
「ちょ…ごめな…そっちに!」
踏ん張っても踏ん張りきれない。
なんとかしてそっちに行こうとすると
何者かに腕を引っ張られた。
「だっ誰!?」
新手の痴漢か?と思ったら
目の前には何処か見たことあるような男の人。
「大丈夫か?」
あれ?この声聞いたことある…
太くて優しくてそんな声。
誠実そうな顔
私…知ってる?
「だ、大丈夫です!ありがとうございます!」
「気をつけてな。」
" 「気をつけてな」 "
あれ…?何今の。
心臓の音が高鳴っていく。
目まぐるしく回る日々の中で忘れかけてた記憶が蘇ってくる。
" 「おはよう。白川」"
" 「今日も元気だなお前は。」"
まだ青春時代だった
" 「先に言われてしまったか…俺も、好きだぞ」"
あの頃の
" 「高校に行ったらもっと忙しくなる。…すまない。別れて欲しい。」
甘酸っぱい記憶。
やっぱり
あなたは
「……橘?」
懐かしい響き。懐かしい名前。
それを、背中を向けた貴方に問いかけた。
「…覚えてたのか。」
その声を受け止めて振り返ってくれた貴方に
あの頃の甘酸っぱい音が鳴る。
「思い出した。橘だ。」
名前を呼ぶ度に甘酸っぱさが弾けるのが分かる。
「それは…嬉しいな 白川。」
私の名前ってこんなに…
特別だっけ。
「折角だし、一緒に帰らないか?」
そのお誘いに乗らない訳にはいかない。
「うん。久しぶりに…ね?」
そこにはあの時とかわらない私たち。
ね、橘。
私と
2回目の恋を始めてみませんか?