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小さな欠片

第1章 君の瞳は何色?(仁王 片思い)





" 綺麗な目をしている。 "


それが君の第一印象だった。

桜が舞い散る中で、綺麗な緑色、何を考えてるのか分からない感情を足した。そんな目に ひと目奪われてはや1年が過ぎようとしている。

「仁王〜〜宿題見せて!」
「やってない。」
「うっそ!どうしよ〜!!仁王だけが頼りだったのに!」
「ふっ…残念じゃな。」

そう目を伏せ口に手を当てながら、悪戯に笑う。
そんな彼に心臓が軽く跳ねた。

同じクラス、隣の席、宿題をお願いする仲にまでなれたのに
どうやら私は我儘みたい。

その瞳に、"私"という要素も追加されて欲しいと思ってしまう。

「…におー」

放課後、結局宿題をやらずに居残りすることになった。
オレンジの光に照らされながら、隣にいる男に声を掛けた。

「なんじゃ。」
「終わんないね〜」
「手ぇ止まっとるからじゃろ。」
「くっ…ごもっとも。」

一瞬目をこちらに向けまた戻す。
折角のチャンス。もっと会話したいのに
なかなか続けられない。

何を話そうか…何を聞けば会話が広がるのか。
そもそも私は…仁王の何を知ってるんだろう。

そんなことを考えていたら手が止まる。

仁王は何が好きなんだろう。
仁王はどんな子が好きなんだろう。

…仁王は私のことどう思ってるんだろう。

複雑な感情が全身を駆け巡ると、光が遮られた。

「どうした?」

そう問いかける主を見上げれば

後ろの光が彼に照らされて、儚くて…とても

「綺麗…」

思わず溢れた言葉にびっくりして手を抑えた。
そしてもっとびっくりしたのは…

「……っ、」

耳を赤く染め自分の顔を手で抑える
彼の姿。

「そんなん…反則じゃ…」

そうぼそっと呟かれれば
彼と目が合った。


その瞳には……

私が映っていた。


" 「もっと見せんしゃい…色んな顔。」"
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