第30章 映る
「親睦会?」
「あぁ。そっちは何人いる?」
「えっと…」
マヤは素早く数え終わった。
「八人よ」
「よし。じゃあ俺もそれくらいの人数をかき集める。あっ、オルオも恋人募集中かい?」
「へ? いや、俺は別に…」
「いい人はいる?」
「別にいねぇけど…」
しどろもどろのオルオのことなんか全く気にする様子もなく、ベンは快活に話を進めていく。
「じゃあ女子も可愛いどころを呼ばないとな! マヤ、男女の内訳は何人かな?」
「女子は私とペトラだけだけど…。さっきの八人はリヴァイ兵長や先輩も含めた人数よ?」
「リヴァイ兵長か…。可愛い女子とか興味なさそうだもんな…」
ベンはあごに手を当てて少し考えていたが。
「リヴァイ兵長は抜きでできるかな? いない方が気楽に騒げそうだし」
「さぁ…」
マヤもペトラも返事に困ってしまう。
「親睦会というなら、兵長だけ呼ばないのは良くないと思うわ」
「だよね。でも兵長がいたら色々やりにくいのは本当だと思う」
ペトラの “兵長がいたらやりにくい” 発言に、自分でも理由はわからないが少々ムッとしたマヤは。
「色々やりにくいって何が?」
「だって可愛いどころを呼ぶって言ってるくらいなんだから、男子もかっこいい人を揃えてくれるんでしょ?」
「もちろん、任せとけ!」
勢いよく合いの手を入れるベン。
「だったらお見合いパーティーみたいなものじゃない」
「お見合いパーティー…」
絶句しているマヤをちらりと見て、ペトラはつづける。
「だから兵長の目の届かないところで、羽を伸ばしたいな~って」
「……それはそうよね。お見合いパーティーなら、私は遠慮しておくわ」
「そんなこと言わないでよ。マヤがいなかったら女子は私一人になっちゃう」
「そうだけど…」
マヤとペトラの会話を黙って聞いていたオルオが、こう切り出した。
「見合いとかふざけたこと言ってないで、普通にメシを食えばいいんじゃねぇの?」
「オルオ、いいこと言うじゃないか。そのとおり! イケメンに美人を揃えるけれど、別にカップルにならなくてもいい。気楽に親睦会ってことで! 気難しそうなリヴァイ兵長には俺がうまく言うからさ。マヤ、そんな困った顔すんなよ、大丈夫だって!」