ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
それ以上は…もう…っ
暴力的な快感にのまれそうになる体を、ギリギリのところで心が繋ぎ止めていた。
そんな僕の状態を全て見透かしているかのようにディノはこう言った。
「さあ、アッシュ…ユウコのことを思い浮かべてごらん」
「……っ!?」
突然ユウコの名前を出されて僕は激しく動揺した。いとも簡単に心が乱されてしまう。
「お前の大好きなあの子の…黒い瞳、流れるしなやかな黒い髪…」
耳元で囁くように、まるで僕の神経に直接触れるかのようだ。
「……う…ッ」
極限状態の僕は、あっという間に脳内がユウコのことでいっぱいになってしまった。…絶対に乗りたくない誘いだったはずなのに。
「…あの子を抱き締めた時に香る匂いを思いだせるかい?」
ユウコの匂い……?
それはすぐに思い起こせた。
鼻が当たり前のように覚えている。
優しくて、甘くて、
僕の大好きな…あの香り。
「…っ!…はあ…ッは…ユウコ…」
「フフ…ッ、質量が増した…やはりお前のカラダは素直でいい子だよ…さぁもっとだ、アッシュ」
「あ…っ…ユウコ……ユウコ…っ」
1度名前を口にしてしまったらもう止められなかった。
こんなことをされながらユウコのことを呼び続けるなんて、絶対にありえないことなのに…罪悪感を感じる余裕すら今の僕には残されていなかった。
身体中の血が、全神経がソコに集中しているようだ。
熱い…熱くて…頭がおかしくなりそうなくらいに、気持ちいい。
ユウコ…ユウコ……ッ!
「…アッシュ、いいかい?…“愛”と“快楽”はイコールなのだよ」
「……っは……ぁ…っ!」
「お前はユウコを愛しているかい?」
「は…あっ……あ、い…してる…ッ」
「ならば… この快楽はユウコと共にある。アッシュ、今このカラダで覚えるんだ…“本物”の快楽を」
そう言った途端、ディノの手の動きが速くなった。
「…ん、ぁあ…っ!」
声を漏らすことを我慢出来ない。
喉がカラカラだ…。
「あの子の舌を思い出すんだ。ユウコの、色欲を掻き立てる発情したあの目を」
ユウコの熱く濡れた必死に絡む舌、
ユウコの…
…あの、頬を紅くさせながら潤んだ目。