ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「お前が近くでユウコをペットとして管理すれば、薬に蝕まれたこの子が誰かに迫り淫らな姿を晒すこともない。それは実質、お前がユウコを守るということに繋がるだろう」
「ま、まってよ…!ユウコが僕のペット?」
「欲のままに男に飛びつかないよう躾けるのだ、ペットと同義だよ」
ディノの言うことはあまりにめちゃくちゃだった。
「ねえパパ…クリスに、ユウコを僕のペットって言ったのは……偶然だよね?」
「ははは、面白いことを言うじゃないか」
「あの夜にパパは、今のユウコと僕を一緒にするわけにいかないって言ってたのに、どうして今度は僕のペットにだなんて言うの?」
「それが最善と判断したからだ」
「…あいつらにひどいことをさせられてるユウコを、どうして僕に見せたかったのか教えて?」
「全くお前という子は……末恐ろしい。だが、ひとつ誤りがある。ユウコはあの行為を嫌がっていない、この子にとってひどいことなどではないのだ。お前があれをひどいことと感じたのは、愛故えの独占欲だ」
「………っ」
「愛する者の性が他人の手によって弄ばれる姿は苦痛以外の何物でもないはずだ。それに対し本人がどう感じているかはこの際関係ないだろう。愛する者を縛り付け、自らの傍におきたい…その為にはどんな過程も厭わない…よくあることではないか、そんな顔をしなくていい」
「でも僕はちが…っ!」
「お前が納得するかしないか、私にとってそんなことはどうでもいい。いいか、お前には拒否権がないのだ。私に誓ったことをもう忘れたわけではあるまいな?…それと、お前に商品として働いてもらうのと同様に、ユウコにも私のために役立ってもらう。野垂れ死にそうだったお前たちを拾ってやったのは私だよ。余計なことは考えずに、主人に従うのだ」
「………」
「…いい子だ」
「パパ…あいつらは?」
「安心しなさい、私が地獄へやった」
その時、側近の男が声を掛けた。
「…ああ、ご苦労。さてゴミが片付いたようだ、ここを出よう。ジョセフ、ユウコを車へ」
「まって!」
僕は自分のシャツを脱ぎ、ユウコに掛けた。
「ほう?紳士的だ」
「…見られたく、ないんだ」
このニヤリと笑うディノの顔はきっと一生忘れられないだろう。