第48章 癒えない心
智「お前…じいちゃんからイタリア支社に行くよう話があった時、向こうで成果を上げるまで帰ってくるなって言われなかったか?」
海「ああ…言われた…」
和「けど、これと言って良い話は聞いてませんがね」
海「…相変わらずキツイな…お前は…」
まあ…事実だがな…(ハッキリ言ってないだけで、俺もそう思ってたし…)
潤「じゃあ、何で突然帰ってきたんだ」
海「こいつを会わせにな…」
和「こいつって…彼女を?」
海「ああ…皐月のお腹には俺の子供がいるんだ…」
・・・
智・雅・和・潤「えーーーーーっ!?」
か、海里の子供ー!?
海「おい…大きい声出すと、翔が起きるんじゃなかったのか?」
そう言われて、俺達は思わず口を噤んだ
雅「ど…どういう事なんだよ」
海「…突然大野グループの相続候補から外された上に、イタリア支社に飛ばされて、暫くヤケになってたんだ…そんな時に偶然街中で皐月に出会ったんだ…だが俺は最初、皐月の事蔑すんでいたんだ」
潤「何で…」
海「こいつの両親はイタリアに渡ったが、事業に失敗して日本にも帰れず、一家心中を図った…その時親は亡くなり、皐月も声を出すことが出来なくなった…それ以降、皐月は住む所もなく、ホームレスの様になっていたんだ」
こんな若い女性が…1人で…
だが、ますます解らない…
海里の性格からして、そんな女性に好意をもつか?
智「まさかお前!その人の事無理矢理…!」
その俺の言葉に、皐月さんが思い切り顔を左右に振っていた