第27章 虹の袂
太郎が死んでから数日後、俺達はあるマンションに来ていた
<ピンポーン>
「はい…どなたですか?」
雅「…西川さんですね?大野何でも屋の大野雅紀です…」
「あっ…な、何のご用でしょう…」
目線を反らし動揺していた西川さんの前に、俺は小さな陶器の器を差し出した
「…これは…」
雅「…太郎です…先日キクばあちゃんの跡を追うかのように亡くなりました…これは火葬した後の太郎の骨です」
俺がそう言うと、西川さんは驚いた顔をして
「なっ!こ、困ります!そんな骨なんか持ってこられても…!」
雅「…キクばあちゃん言ってました…『太郎は息子が初めて私の為に贈ってくれたの…だからこの子は私の宝物…もう1人の息子なのよ』って…」
「えっ…お、おふくろが…」
雅「お願いします…出来るだけ、ばあちゃんの側で眠らせてあげて下さい…」
翔「法律上、ペットを同じ墓に入れる事は違法ではありません…けど、宗教の関係で一緒には出来ない事が多いですが…」
西川さんは差し出した俺の手から、そっと太郎の骨壺を受け取り
「…ありがとうございます…」
そう言って頭を深く下げてきた
その目にはうっすらと涙が滲んでいたようだった…
そして俺達は西川さんのマンションを後にした
智「大丈夫か?太郎は…」
和「大丈夫でしょ…きっと…」
うん…俺も信じてる…
そう思っていた俺達の目前に
潤「あ…虹だ」
青空に綺麗に映えた虹が出ていた
ばあちゃん…今ごろ太郎と一緒に虹を渡ってるのかな…
太郎…ほんの少しだったけど楽しかったよ…
ばあちゃんと幸せにね…