第22章 HAPPY BIRTHDAY.
今日最後の収録を終えて一足先にブースから出る。
「お疲れ様です。今日の仕事はこれで終わりですね」
そう話しかけてきたのは専属のマネージャーである立川だ。
浅沼「だねー…あー…もうすぐ誕生日終わる…」
そう、今日1月5日は自分の誕生日なのだ。
さっきのアフレコ現場でスタッフや他の声優達からもおめでとうとプレゼントも貰った。
立川「けっこう沢山もらいましたね…」
両手にある紙袋を貰いながら立川が苦笑いしながら言った。
浅沼「うん、嬉しいことに皆覚えててくれて嬉しかった(笑)」
しかし、まだ重要な人物からおめでとうの言葉をもらっていない。
そんなことを考えながら歩いていると後ろから「わっ!」という声と共に背中に抱きつかれる。
勿論、その人物が誰なのか浅沼はすぐに理解し咄嗟におんぶする。
すると、相手はまさかおんぶされると思っていなかったのか「うわぁ」と情けない声が聞こえた。
浅沼「ふふ、尊、お疲れ様」
「はい!お疲れ様です浅にぃ!そして誕生日おめでとうございます!!」
「なんとか今日中に言えました!」と楽しそうにケラケラと笑う尊。
そんな尊の顔を見て自然と頬が緩んでいくのを感じた。
立川「…あ、じゃあ、この荷物先に車に積んでおきますね」
空気を察してかそう言い出してくれた立川。浅沼はそんな立川の配慮に感謝しながら「うん、お願い」と返事を返した。
浅沼「ね、尊。今日はさ俺んち来てくれない?好きなもの作って欲しいから」
「いいですよ!私の作れる範囲で何でもつくります!!」
ヤル気満々に腕捲りをして気合いを入れる尊。
まぁ、本当のとこ自分の家に尊をあげたいだけ。
少しでも、長く、尊の近くに居れたら。
早く、この想いを伝えられたら…
浅沼「どれだけ楽か…」
「?何か言いました?」
浅沼「んーん、なんでも!よし!立川さん待ってるし車までいこっか!」
「え、下ろしてくれないんですか!?」
浅沼「だって今日は寒いしこっちのほうが手繋ぐより暖かい!」
まだ、先でいい。今はまだ、この心地いい関係で。
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はい!浅沼お兄様!誕生日おめでとうございます!
今日でなんと44歳ですよ!?もう見えない!これからも応援してます!