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欲望ノ枷【R18】

第3章 散り、咲き乱れし華【R18】




朝、時刻は7時を回ろうとしていた。

雪音はキッチンに立つ。
ふわりと香るパンの焼ける芳ばしい香りと、ベーコンを焼く食欲を刺激する油が僅かに跳ねる音。フライパンに玉子を落とすと、ジュウッという音と共に白身が透明から白に変わる。
バリッと鳴るは新鮮な証拠である、レタス。手で千切られたレタスは瑞々しく青々としていた。

食卓に並べられたのは、ロールパンと僅かにカリッとするまで焼かれたベーコン。大きく愛らしい目の様な、玉子を二つずつ使って焼かれた目玉焼き。そして、新鮮なレタスに赤いパプリカのスライスが混ぜ合わされ、上にツナが乗ったサラダであった。
シンプルながら、失敗などは見当たらぬ朝食であった。

雪音は兄が起きて来る前に、とコーヒーを淹れる。
といっても、サイフォンの機械にフィルターと豆をセットして、スイッチを押しただけ。コーヒー豆は煌が好きなブルーマウンテンだ。
スイッチを押して暫くすると、湯が沸騰してぽたぽた滴を落とす音と共に辺り一面に広がる、ほろ苦さの中に僅かな甘さを秘めた芳しい香り。


煌「おはよう、雪音」

雪音「お兄様っ、おはよう御座います」


すると、まるでコーヒーの香りに誘われるかの様に起きてきた兄の姿を見て、雪音は微笑む。
兄の席を引き、兄が座る様に片手を翳して促す。それはまるで、サプライズを考えた子供の様だと、煌は微笑ましく思った。
料理を見回して、煌はふわりと柔らかく微笑む。


煌「雪音は料理上手だね。これは、小さい時に言ってくれた様に、本当に僕のお嫁さんになって貰いたいよ。なんて」

雪音「まあ。それじゃあ、お兄様にはもっともっとお料理の練習にお付き合い頂きませんと……ふふっ」


冗談交じりに言って、クスクスと楽しげに笑う煌。同じ様に冗談を交え、可笑しげに笑う雪音。
それは、誰が見ても微笑ましい兄妹愛そのものだった。

煌は朝から野崎に連絡を取っていた。
昨日出会ったばかりの者含む協力者達、皆を屋敷に招待する為の迎えに行け、と。

夜には調教師が集う。雪音を肉奴隷計画の最初の被験者として、お披露目をするのだ。
雪音が注いだコーヒーを一口啜ると、それは欲望成就の甘露なる味がした。


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