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欲望ノ枷【R18】

第2章 幕開け




母は雪音が5歳の時に死んだ。

名は【紫月 菫(しづき すみれ)】
幼かった雪音の記憶の中で、菫が怒っている時など片時も無かった程、優しい母親であった。
優しく、愛らしい笑顔がよく似合う。綺麗や美しいという言葉よりも、可憐…そう例えるに相応しい。それが、雪音と煌の母親であった。
雪音は母親によく似ていた、顔立ちというよりも、その可憐さが。要は母親に似た純粋な雪音を、ただただ守るために、残りの生涯を捧げたと言っても過言ではなかった。

雪音の部屋のタンスの上、其処には優しい笑顔を称えた母が一人で写る写真。そして、雪音が3歳の時に撮った家族写真が飾られていた。


雪音「お父様、お母様、おやすみなさい」


雪音は写真に写る二人にふわりと微笑み掛け、ベッドに入った。


要は雪音は勿論、煌の事も可愛がっていた。隙の無い、まるで型にはめて焼かれた焼き物の様に美しく、欠点を見付ける事の難しい息子。
そんな煌を、要は自慢の息子だと、そう会社でも皆に話して聞かせていた程だった。

煌は漸く訪れた自らの欲望の成就する日を見据えるかの様にカレンダーを見ては、ニヤリと口元を歪める。
そして、風呂に入るとバスローブを脱ぎ、下着のみの姿でベッドへ横になった。


煌「雪音…可愛い僕の大切な妹、愛してるよ…」


そう静かに呟き、煌は瞼を閉じた。


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