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星条旗のショアライン

第13章 ソー&スティーブ(MCU/EG if)



新アスガルドを訪問したハルクとロケットがソーを連れて帰還したと聞かされて、いても立っても居られずにソファから腰を上げた。思いのほか勢い付いて暇潰しに立てていたトランプタワーは風圧で無惨に崩れ落ち、隣でクイーンとキングのカードを構えていたスコットが情けない声を上げたけれど、謝罪もそこそこに、気付けばなりふり構わず駆け出していた。
――……あの日、サノスの首を落としたソーは腹立たしいくらい肥えた畑の真ん中でムジョルニアを振り回して何処かへ飛び去っていった。それ以来、我々の前に全く姿を現さず、その所在も生死も分からずにいたのだ。
それがようやく再会出来る。アスガルドが滅ぼされ、居住をノルウェーの辺境に移したと分かった時から焦がれていた。過去へ渡ると決まったからには仲間がいる。それに結局のところ我々はソーほどの桁外れな武力を求めるしか絶望的な未来を変えられる切り札を知らないのだから。
(……!)
無機質なロビーまで走り込むと確かに、ヒッチハイクしたのであろう運転手にチップを渡すロケットと誰かを身体の向こうに隠したハルクが居た。俺は喜びを隠しきれずにハルクを呼びながら集団へ駆け寄ろうとしたが、ハルクは振り向いて俺の存在を認めた途端に慌てて両手を突き出して制止してきた。
「待て待て止まれ!」
「なんだ、ハルク。ソーは? いるんだろ?」
「居るには居る。いいか、落ち着いて聞いて欲しい」
戸惑う俺にハルクは溜め息をついてから立ち位置を向かって右にずらして後ろに控えていた男を前に出した。「驚いたりしないでやって欲しい。特に君には」そんな意味のわからない不吉な台詞を囁きながら。

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