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星条旗のショアライン

第24章 SSS キャラ×男主(―/30日更新)



★Aキャプテン・アメリカ

「旅行行ってくるね!」
「ああ…………え!?」
ボストンバッグを片手に玄関へ向かう途中、新聞を読みながらコーヒーを啜っていたスティーブの背中へ声をかける。初めは普通に返事をしたけれど、事の次第を理解した途端に慌てて振り返ってきた。生返事は良くないぞ。
「聞いてないぞっ!」
「いま言った」
「当日の朝に言うのは遅いだろっ! どこへいくっ!」
「日本」
「……なぜっ?!」
「スタークさんがペアの旅行券くれたから」
そう言ってチケットを二枚見せると即座に奪い取ろうとするから背中に隠す。知ってるぞ、こういう時に実力行使で物事を捻じ曲げがちな事。正義漢だと周りは言うけれど彼は意外と横暴な部分があるから。
「……ま、まさか僕以外の人間と旅行に行くのか? 恋人の僕を差し置いてっ!?」
「だってスティーブはヒーローだから休みなんかないでしょ。仕方ないじゃん」
一応聞いたんだぞ、俺は。今日の日付から四日間くらい予定が空いてたりしないかって。そしたらスティーブは『僕に休みはないよ』って爽やかに笑っていたじゃないか。まあ今にして思えば俺の聞き方が意地悪だったかもしれないけど。
「フューリーに言えばどうにかなるさ、何日間だ!」
「三泊四日。だけどダメだよ、もう一緒に行く人いるから」
「誰だ、誰と行くっ!」
「それは――」

★KOランサム・ドライズデール

扉をノックすると、気だるそうなドライズデールさんが顔を出す。俺の姿を見留めても表情は相変わらず無表情。なまじ顔が整っているから眉宇を歪ませて唇を引き結ぶ表情ですら絵になるけど、絵画はあくまで眺めるだけに限る。
「こんにちは」
「檻から脱走したらダメだろ。動物園にとっとと帰るんだ、お猿さん」
「……車のハザードがつきっぱなしだとお伝えしたかっただけですので」
「そいつはどうも」
顔を合わせればこれだ。近所の人が言うには箱入りのお坊ちゃんらしく、その世間知らずな性格が口の悪さに拍車をかけていると専らの悪評だ。日本人の俺にも容赦の無い発言をかます辺り、悪評は真実なのだろう。ほんっと信じられない。
そうして他人の敷地からブチ切れて帰る俺の背を窓から眺めていたドライズデールさんが頭を抱えながら「クソッ! なんで気になる奴にまでこんな調子だ、俺ともあろうもんがっ!」と悶えていたなんて知る由もなかった。

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