第1章 入学式
少し不安と緊張が混じった思いで青葉城西高校の門をくぐる。
クラスが書いてあるだろう看板に見覚えのある綺麗なピンク色の頭を見つけた
「はーーーーなっ!」
後ろから激突しに行くと、驚いた顔をしながらも、なんだ佳奈かって笑ってくれる。
そう、花こと、花巻貴大。私の幼なじみだ。訳あって中学時代、と言っても2年ほどだが会えてない時期があっても私のことは忘れないでいてくれた。
「なになにー?花巻サン彼女ですか〜?」
後ろから花より数センチ背の高い、くせっ毛で困り眉、アヒル口の特徴的な男性があらわれた。
「ちげーよただの幼なじみ、」
「なーんだ期待したのに〜」
「てか、お前のこと誰だか分かってねーよな佳奈、こいつは松川一静。」
「よろしくね〜」
花と親しげに話すこの、制服の似合わない男子生徒が松川一静……名前なんて1発で覚えられないだろうけど、頭の中で何回か復唱する。
「あ、佳奈って何組?」
「私は1組。」
「おー俺も」
「俺ら全員1組かー」
自分から話しかけに行くなんて滅多にないから、花のおかげで松川君って言う人と仲良くできたと思う。
口には出さないけど感謝しておこう。