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短編集/鬼の木漏れ日

第6章 君の手料理


 神崎たちと話してる間にあやが注文を確認しに様子を見に来てくれたが、神崎たちは気付かず、蓮巳が応対してからあやはホールの方に戻っていた。

「貴様ら、さっさと注文を決めろ。この辺なら帰宅後も夕餉を食べられるだろ」

 全員注文を決めると、店長が注文を聞いてくれて早速用意を始めてくれた。

「戻りました」
「ご苦労様。それじゃあ、水瀬さんから引き継ぎ確認してもらったら、こっち来るように言ってね」
「わかりました」

 カウンターに男性のスタッフが入って、買い物袋を店長に渡すとホールにいるあやのところに向かっていた。恐らくホールメインで入ってるのがあの人なのだろう。あやとも親しげに話してるし…

「鬼龍くん、グラスは割らないでねー。あと彼、彼女持ちだから安心しなさい」
「…すんません」
「戻りました。店長、何からしますか?」
「うん。じゃあ、彼氏くんに元気もらってから注文作っていこうか」
「え? 紅郎くん? どうかした?」

 思わずグラスを握りこんでいたみたいで、店長が止めてくれなかったら握りつぶしてしまっていたことだろう。
 あやが目の前に押されて出てきて、見るとバイトの制服の白のブラウスに黒のスラックスにエプロン、長い髪を団子にまとめた姿はあまり見ることがなくて新鮮だった。

「いや、なんでもねぇよ。悪りぃな、仕事の邪魔して…」
「大したことないから大丈夫だよ?」
「そうか? あ、帰り、送るからな?」
「……いいの?」
「今日は家に父ちゃんもいるから大丈夫なんだ。だからいいだろ?」
「紅郎くんがいいなら、いいよ」

 照れつつも嬉しそうに笑うあやが可愛くて、思わずにやけそうになった。
 あやが調理に入ると、蓮巳に小突かれた。

「恋人相手だからなのはわかるが、貴様でも鼻の下を伸ばすのだな?」
「うっせぇな…」
「鬼龍先輩の彼女さん、とってもお綺麗ですね…」
「だろう? 嬢ちゃん、わかってるな」

 俺たちが話している間、神崎はあやの調理風景をしっかり見ていた。俺も途中から見たが、調理中のあやは仕事なのもあるだろうが、顔つきがいつもと違っていた。冷静に落ち着いて、目の前の料理に集中していた。
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