第4章 おやすみのお時間です
「………っばか!変態っ、エロ親父っ」
「お嬢様」
「うるさいっ、出てけっ、馬鹿馬鹿馬鹿っ」
あのあと、ものの見事に意識を飛ばしたあたしが目を覚ましたのは。
すでに真夜中で。
隣では、何故か変態エロ執事がすやすやと寝息を立てて寝ていた。
「なんであんたがここにいんのよっ」
バフン、と。
ふかふかの枕で、整った顔で気持ちよさそうに眠っているハイセの顔面を叩けば。
すぐにハイセは目をパチリと開けて。
あろうことかいきなり抱きついて来たのだ。
「めちゃくちゃ、可愛かったです、お嬢様」
なんて。
思い出したくもない醜態を言葉にしながら、だ。
おかげで。
「………っばか、変態っ、エロ親父っ」
なのである。
「お嬢様、好きです」
「あたしは好きじゃないっ、離れてっ、大声出すわよっ」
「十分、大声ですが」
「うるさいっ」
「僕以外、すでに帰られてると思われます」
「な………っ」
にっこりと笑う執事のぎらついた瞳に。
一瞬言葉が出てこない。
「ご安心下さい。さすがにもう、襲いません」
「……あんた、襲った自覚、あんの……っ」
「ええ」
「ハイセっ、犯罪だよそれっ」
「犯罪でもなんでも、お嬢様が僕への恋心を自覚して頂けるなら、なんでも致します」