第4章 おやすみのお時間です
「お嬢様」
「……っ」
短く呼吸するあたしを、胸元から顔を放したハイセが見下ろす。
「今日は、抵抗しないのですね」
「……して、るっ、手、離してっ」
「『初めては、好きな人と』、ではないのですか?」
「え?」
酸素が上手く取り込めないせいか、頭がモヤかかったみたい。
ハイセの言ってる意味が、理解できない。
「………なんでもありません」
ふ、って。
表情を緩めるハイセが、笑ったような気もした、けど。
羞恥に震える頭じゃ何にも考えがまとまらない。
「……んんんっ」
相変わらず短く呼吸してるあたしの顎に手をかけると。
ハイセは迷いなくそれをあたしの唇に押し付けた。
下唇を啄むように効果音をつけて、時には唇を舐めながら。
ハイセはあたしの唇を堪能する。
体だけでなく、顔の自由まで奪われたあたしは、そんなハイセの柔らかな唇から逃れる術なんてなくて。
無意識に呼吸を取り込もうと開けた唇からは、容赦なくハイセの舌が入り込んだ。