第4章 おやすみのお時間です
ハイセは。
カモミールティーを口へ運ぶあたしからやんわりとカップを奪うと。
カタンと上品な音を立てながらそれをカップとお揃いのお皿の上へとおいた。
意味もわからずそれを一部始終目で追っていれば。
今度は身体がふわ、っと。
音もなく浮いたのだ。
驚きのせいで身動きすらできないあたしを、いわゆるお姫さま抱っこしたまま、ハイセはベッドまで運び。
赤ちゃんでもベッドへおろすよう丁寧に、優しく、あたしをベッドへと横たえた。
いや、待って。
ハイセに見下ろされているこの状況下で、『おやすみ』なんてまず出来なくてよ。
だいたい、まだナイトウェアへと着替えていないもの。
シャワーも、歯磨きも、まだだったわ。
え、と、それから、それから。
「お嬢様」
頭がパニクりすぎてワケわからないことを考え出したあたしの思考を遮るように。
低く囁くハイセの声に、無意識にビクン、と身体は小さく反応した。