第3章 僕とデートして下さい
「………聞き間違えかしら?」
いいえ、そうね。
聞き間違えよね。
ええ、そうよ。
あたし、宿題やらなきゃいけないのよ。
執事とおしゃべりなんてしてる暇、ないのよ確か。
ついつい、ハイセの淹れたシトラスティーにつられて手を止めてしまったわ。
「お嬢様」
「ええ、ハイセ、今宿題の時間なの。あとででいいかしら?」
「もちろんでございますお嬢様。………確か先日の試験で追試になられた分の課題でございますね。邪魔をしてしまっては、旦那さまにも叱られてしまいますゆえ」
「……」
恭しく頭を下げてるくせに。
なぜかしら、脅迫を受けている感が否めないわ。
「………ハイセ」
「はい」
「話して」
「はい、お嬢様」
にっこりと微笑みながら頭を上げるこの男。
絶対に性格悪いに違いないわ。