第6章 沈黙
その後すぐにセーフ・ハウスを出て、着替えて、何故か居酒屋に行った。
そこには書類で見た事のある、種田長官が居た。
「人助けが出来るところ」
治さんの言葉に驚いていると、
「君は…」
と種田長官に話を振られた。
「私は自分の意志でここに居ます」
ハッキリと云った。
気付けば政府の施設に居た。
そこには裏切り者だと云っていた安吾さんが居た。
「やぁ安吾。宜しくね?」
「蓮さんも連れてきたんですか」
「蓮ちゃんは、自分の意思で付いてきてくれたの」
「…そうですか」
未成年は…など思っているんだろう。きっと。
でも、付いてきたのは私の意思だから。
「話は中で。追手は?」
「居る訳ないじゃないか。この僕が撒いたんだもの」
「そうですね」
中に入ると其処は普通の家だった。リビングにこそカメラがあるものの、私は偶にそのカメラに手を振るくらいには気楽なモノだった。
「…楽しい?」
「え?」
少し寂しげな表情で何処かを見ている治さん。
「前みたいに自由はきかなくなったし、ロクに外に出歩いていない」
貴方を独り占め出来るならどんな場所でもいいんですよ。
そんな事、色々バレバレだから云わないけど。
「別に楽しいとか…はないですけど、ゆっくり出来ますし…いいと思います」
「そう…そうだね」
曖昧な表情を浮かべる治さん。
貴方にはこの世界は如何見えているのだろう。
「モノクロかな」
「へ?」
「この世界はモノクロだよ」