第3章 幼い約束
いつだって突然だった。
突然お友達よ、と連れてこられ、
いつのまにか俺の後ろに居て、いつも俺について回った。
零くん、零くん、といつも俺の服の裾を握ってた。
初めは妹ができたようで嬉しかった。
ヒロと一緒に甘やかして、妹のように可愛がった。
別れも突然だった。
ある日突然、フランスへ行くと告げられた。
中学に上がったばかりのことだった。
その時初めて気がついた、俺がみなとを女の子として意識していたことに。
だから、一方的に約束をした。
「俺たちの日本に帰ってきたら、結婚しような。」
そう言って抱きしめた。
幼いながらもわかっていた。
もう会うことはできないだろう、と。
でも、今胸の中に抱いているのは間違いなくみなと。
再会も突然だった。
まさかセーフティハウスの隣に恋い焦がれた相手が越してくるなんて。
夢か、ドッキリかと、本当に驚いた。
しかし、異性の家にノコノコと上がり込み、睡眠薬を入れられても気がつかないなんて……
……教育が必要かもしれないな………
そんなことを思っていると目が覚めらしいみなとは俺から逃れようともがいている。
『ゼロ……零くん?』
やっと、やっと思い出してくれた、やっと戻ってきた。
そう思うとみなとを抱く手に自然と力が入った。