• テキストサイズ

ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第12章 取引





これがエルヴィンさんと最後の食事になるかも
しれないと思うと心臓がバクバクして広場までの
道のりをどのようにして来たのか記憶が無い。

気づいたら到着していて少し落ち込む。

最後くらいエルヴィンさんと普通に
他愛もない話をして、その思い出を
記憶に留めておきたかったと思っていたのに
後の祭りだった。


「何が食べたい?買ってくるから君は座っていなさい」

「え?どうしてですか?一緒に行きますよ」


突然そんな事を言われたので挙動不審に
なりながら返すと、エルヴィンさんは
「体調が悪そうだから」と心配そうに気遣ってくれた。


「無理をしなくて良いんだ。いつもの流れで
ここに誘ってしまったが・・・今からでも戻ろうか?」

「い、いえっ!!体調は悪くないのでご飯食べましょう!」


自分ではいつも通りと心掛けていたはずなのに、
エルヴィンさんには様子がおかしいと写ったらしく
私は大いに慌てる。

自分で最後の食事をぶち壊すなんて御免だ。


「そうか?気分が悪くなったらすぐ言ってくれ。
抱えてでも無事送り届けるからね」

「は、はい。その時は宜しくお願いします」


こんな時まで紳士なエルヴィンさんに
私は直角のお辞儀をしてそんなお願いを
してしまったが、普通に考えたら凄く
迷惑な事だと思い至った。



/ 142ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp