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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第2章 ハンサムな彼







―――初めてその人を見かけたのは、
嫌々連れてこられた夜会だった。



第一印象は『目立つ人』・・・。



大柄で鍛え上げられた肉体に金髪碧眼の凛々しい顔立ちをした彼を、
お伽噺に出てくる王子様のような人だと思った。

夜会に参加している殆どの女性が彼に群がり、
ダンスの相手を頼んでいるようで、彼は少し困ったように
笑いながらもそれに応じていた。

ダンスも女性のあしらい方も上手いし、所作も優雅で、
どこのお坊ちゃんなんだろうとは思ったけど、
私はすぐに興味を無くしてしまった。


私がいくら彼に興味を持っても無駄な事だと思ったから・・・。


私はその内、親が決めた相手と結婚し、
その相手の子供を設けて、そのまま死んでゆくだけ。

それが運命であり、誰かを不幸にせずに済む唯一の道だと思う。

きっと、あのハンサムな彼もその内どこかの女性と結婚して、
子供を設けて、幸せな家庭を築くのだろう。
私には関係の無い事だから、彼に近づくつもりはなかった。




その後も何度か夜会でハンサムな彼を見掛けた。

私はすぐ人気のない場所へ移動してしまうから、
彼がどこの誰かなんて知らなかったけど、
たまたま近くにいたマダムが噂をしているのを耳にした。

どうやら彼は貴族では無いらしく、夜会に参加しているのは
資金集めをしているからというのは自然と聞こえた。

夜会参加者の中には、彼を快く思わない人間もいるようで、
蔑んだ目で睨みつける人間がいる事に気づいたが、
やはりあまり興味を持てなかったので、そのまま退席した。



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