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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第2章 ハンサムな彼






「何となく事情は理解した。だが、私が目撃者である君を
殺すとは思わなかったのか?」

「・・・あぁ、そうですね。今気づきました。ですが、
私は心を満たしたまま逝けるので後悔はありません」


そう答えると、機嫌を損ねたのか今度は思いっきり
眉を寄せられてしまった。


「私は・・・命を軽んじる事を好まない。
だから、君のその考えには賛同し兼ねる」


私は一瞬ポカンとしたが、次の瞬間笑いが込み上げてきて
吹き出してしまった。

彼は馬鹿にされたと思ったのか、腕を組んで呆れたように
私を無言で見つめ続ける。


「ご、ごめんなさい!貴方が恋人と同じ事を言ったものだから、
懐かしくて・・・。私も昔はそういう考えだったのになって
思ったら、何故か笑えてしまって・・・」


そう言い訳していると、彼は黙ったまま胸元から
ハンカチを取り出して、私の目元にそれを充てた。

突然の行動に意味がわからず首を傾げていると、
彼から「君は今泣いている」と言われ、そこで漸く瞳から
涙が流れている事に気づく。

仮面をしていたから拭いにくいだろうに、彼は丁寧な仕草で
涙を拭ってくれていた。


「ありがとう・・ございます・・・」

「・・・いや、此方こそ恩人である君を泣かせてしまった」


当たり前のようにそんな事を言う彼はきっと真面目な
人間なのだろう。

涙を拭う仕草から女性慣れしているのだろうというのは
わかるが、女性慣れという以外にも彼自身の優しさを
感じて思わず頬を緩める。




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