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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第14章 逃亡先にて





この香水を常用してくれているという事は、
もしかしたら整髪料も使ってくれているかもしれない。

そうなると最後に会った時、押し付け同然で
彼のポケットに忍ばせた整髪料も残り僅かに
なっているだろう。

髭の男性の会計が終わった後、
私は恐る恐るといった感じでカウンターの上に
整髪料を出した。


「あのお客様・・・初対面の上厚かましいお願いですが、
この整髪料もエルヴィン団長に渡して頂けないで
しょうか?」


髭の男性は目を丸くしながら、私と整髪料を交互に見遣る。


「実は以前、エルヴィン団長がその香水をお買い求めに
なった際、選んだのは私なのです。その時整髪料も
彼に渡して使って頂けていたようなので、
もう残量も無いかと思いまして・・・。
いらなければ捨てるなり何なりして下さっても
構いませんので、この整髪料を渡して頂けませんか?」


事情を説明し終わった瞬間「もしかして貴女が
っ!?」とメガネの兵士が大きな声を
出しながら詰め寄ってきた。

その剣幕に驚きながらも私は「はい、そうですが」と
普通に肯定すると、店内にいた小柄な黒髪の兵士が
少し驚いたようにボソリと呟く。


「もう死んだものと思っていたが、生きていたのか・・・」

「え?死んだ?って何故です?」


聞き捨てならない言葉に反応すると髭の男性も
思い当たったのか「あぁ、エルヴィンが話していた女か」と
納得したように頷いていた。

エルヴィンさんには生きていると知らせたはずなのに、
死んだものとして扱われていた事に困惑していると
メガネの兵士が


「今からエルヴィン連れてくるから、
ちょっと待っててね!」


と言ってお店から飛び出していった。



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